7度目の正直

異郷の草 三国志連作集

MFコミックス
メディアファクトリー
514円(税別)


志水アキ


三国志に名を連ねる5人の短編が描かれた作品
三国志の概要についてのページ、各章の始めに人物紹介があるため三国志を知らなくても読めます。


ここで語られる人物たちは有名な者もいればそうでない者もいます。
しかし彼らに共通するのは事情が特殊だということです。
仕官して戦を重ね昇進し国のために散っていく、そういう人物たちとは一味違った人生を送った人物たちが主人公です。
文献や逸話などに忠実でありながらも世界観を壊さないオリジナルな要素が話を盛り上げてくれます。
短編とはいえかなりのストーリー性があって読み応えは十分です。


蛇足+独り言
歴史を題材に物語を書こうとするとおそらく情報量が足りないと思われます。
例えば戦と戦の間にその人物がどういう生活を送ったか、などです。
それは時代が古いほど正確な文献は残りません。
よってこの部分は作者が文献(戦や逸話に関する)に現れる人物像をどう解釈しどう物語にしたかによって、
同じ題材を扱っても違う話が出来上がるというわけです。
これが歴史の醍醐味であり難しいところです。


ここで勝手な紹介。
蒼天航路
いわずと知れた名作。
作品を描く上で作者が勉強したノートが公開されましたが、
並みの学生より勉強してます。
これに裏打ちされたストーリー構成は本物です。


三国志
歴史漫画の大御所横山先生の長編漫画。
大半の三国志ファンの教科書。
丁寧なストーリー進行は読者を三国志中毒にする。


一騎当千
ティッシュ片手に読む人、それはそれでいいと思います。
でも三国志を知っている者なら人物と歴史改変のうまさに納得のはず。
歴史に抗う人物を描くため歴史に着かず離れずの基本構成が作者の本気を感じます。